圧縮比とは、ピストンが混合気を圧縮する比率のことです。
シリンダーの容積÷燃焼室部分の容積=圧縮比。
ホントはもっとウダウダ計算式があるんだけど、ごカンベンを。
だって、こんな話はつまんないでしょ。
やっぱりダメダメMGFの話じゃなきゃね!
というわけで、またまたエンジンおろしました!
MGFに使われてるK型エンジンって、元々は1400cc だったそうで、
ボア(内径)を広げに広げて、足りなくなったらストロークもチョイと伸ばして、
ついに1800cc までに成長いたしました。
・・・こんなとき、普通はエンジンブロックを新設計します。
ってかモジュール設計にして、
ボアの種類は2種類くらいで止めておくのが普通じゃないの?
その昔、おバカな自動車メーカーさんが、
V6エンジンの1500ccってのを作ってました。
エンジンとしては始動するけど、重いし、抵抗がデカいし
パワーは無いし、燃費悪いし、部品が多くて値段は高いし、
ひとつも良いことはありませんよ。
どうしても作るってんなら、半分の3気筒で、
「軽自動車用の660ccのエンジンも作れるようにしておこう!」
って考えるところなのに、1500ccにしちゃった。
アホでしょ。
結局、そのエンジンはいくつかのクルマに採用されたけど売れず、
会社に大赤字をもたらして消えていきましたとさ・・・。
話が逸れましたが、
エンジンってそんな感じで、先まで見通して設計しなきゃ、
会社の命運まで左右するんですよ。
だから、清貧なローバーはひとつのエンジンを
イジリ回して、改変しまくって、いろんなクルマに載せました。
まぁ、それ自体は悪いことじゃ無いんです。
だけど、おかげでシリンダースリーブなんて、めっちゃ薄くなりましたよ。
「チョーうすうす」
避妊具のCMと間違えそう。
おまけにシリンダーとヘッドを位置決めする「タイコ」もヤワヤワ。
だから、ゴムシールの付いたヘッド・ガスケットが、
振動や熱ですぐにヘタってしまって冷却水モレ。
最近のは、しっかりしたタイコに変更になってるそうですが、
そもそも、なんでヘッドガスケットがゴムシール付きなんだよ! って話ですけどね。
熱いんですよ、燃焼室に接してるんだから。
もし、ガスケットがヘタると、どうなるか・・・
ヘタって、ビロビロになっちゃったヘッド・ガスケット ↓
まずシリンダーヘッドとシリンダーを一緒に締めているボルトがゆるむ!
シリンダー内部に冷却水が侵入する!
すると、
冷却水が抜けちゃって、オーバーヒートでヘッドが歪んで、修理に○○万円~!
あるいは冷却水が混入してるのに、
ピストンは上昇して圧縮していくから、コンロッドやクランクがクラッシュ!
こうなると修理不可!
エンジン積み替え!
・・・ホントは修理、出来ないこともないんですけど、コストがねぇ。
あのガスケットのせいで、
「全てのMGFは、必ず一度はこの道を通らねばならない!」
そういうお財布の修行コースになっています。
MGFだけじゃなく、1400cc のローバー100シリーズや、
1600cc のローバー200シリーズだって、
ほとんど全車、同じトラブルは起きたそうですから。
だから、やっぱりゴムシールなんか使っちゃダメなんですよ。
アホな設計者め、金返せ!
でも、そんなK型エンジンにも、長所があったんです。
それは調達価格が安いこと。
あーあ、ソコかよ。
でもま、ヘッドガスケットさえ何とかすれば、普通のエンジンになるんですから。
他にもちょっとだけ、K型エンジンの良いところがあるんです。
それはですね、
一般的にエンジンって、オーバーヒートすると、
シリンダーヘッドが歪んだりするんです。
・・・そもそも現代のエンジンはオーバーヒートなんてしませんけど。
で、オーバーヒートして歪んだヘッドは、
シリンダーとの接合面を研磨して修理するんですけど、
普通のエンジンヘッドだと、0.3mm くらいしか「面研」できないんです。
基本設計からムダな部分をトコトン追い詰めるんで、そんな余裕はないんです。
ところが、K型のヘッドは1~2mm くらい削ったって、ぜんぜん余裕。
まだイケる!
これ、面研完了したヘッド
だから、「あと2~3回はオーバーヒートしてもいいぞー!」だって!
喜んじゃいられませんよ。
エンジンを降ろすと、同時に貯金もたっぷり「おろす」ことになるんですから。
しかも、このガスケットがヘタって、ビロビロになる案件って、
予兆は無いんです!
災いは突然にやって来るんです!
あまりアテにはなりませんけど、
ラジエター・リカバリタンクの冷却水量が急に減ってたら、
それは予兆かも知れません。
毎日、乗る前、降りた後、チェックを心がけましょう。
(そんなの面倒くさいわ!)
しかも朝のチェックが、夕方までの保証にはならないんです。
繰り返しますが、何の前触れもなく、突然トラブルはやって来ます。
難儀なクルマなんですよ。
もし旅先などでコレに出あうと、タイヘンです。
女性連れだったりすると、「大ケンカ」になったりします。
ですから、パートナーと「もう別れたい」と思ってるなら、
イチかバチか、MGFでドライブ旅行に行ってみましょうか。
最悪の場合、厳冬の山中で孤立してしまう・・・そんな可能性もあります。
ケイタイの電波も届かない、2~3日は誰も通らないような山奥で、
MGFが不動になってしまい、深夜、ひとりぼっちで凍えて死にかけた・・・
そういう話を聞いたことがあります。
マジでシャレになりません。
MGFに乗って、人がいない山奥に行くのは止めましょう。
コチラはカーボンをきれいに除去したピストン
ところで、私のMGFの話。
0.5mm ほど、ヘッドを研磨させていただきました。
ほれほれ、この通りピカピカ~!
結果は、イイ感じ。
大して変わってなくても、イイ感じと思えたら満足なんです!
もし気に入らなかったら、もう1回できるし。
・・・おいおい
ついでに吸排気ポートも研磨してもらったりしました。
だいたい、ハイオクガソリン指定のくせに、
10 チョイの圧縮比じゃもったいない話です。
もっともっとヘッドを削って、圧縮比が11.5 くらいになったって、
まったく問題ないハズなんです。
バルブタイミングと点火時期が少しずれるから、
ちょっと調整が必要でしょうけど。
・・・問題アリじゃん!
この記事を書く前に、一応、ローバーの販売店にも尋ねてみました。
「純正のヘッドガスケットの耐久性はどれくらいですか?」
「そうですね、いつも点検したり、メンテしていたら、なんと5万km は持ちますよ!」
「なんと5万km」 って言った?
国産車なら不人気車でも20万km以上、ノーメンテが普通だよ!
残りの寿命、短いっすね~!
あ!・・・だから老~婆~って社名なのか。